沈む太陽、昇らぬ月、消える星々。
長い長い冬の後に待つのは、緋色に染まる黄昏の空。
幾度と無く繰り返された一年。
その先に在ったのは、永久に続く黄昏の時代。
世界は歪み、踏み躙られ、間もなく悪夢に覆われる。
けれど、花々は持っている。尽きる事のない生命の焔を。
さあ、その焔を以て、立ち上がり――世界を、正せ。
沈む世界に抗うは、焔の如き意志を持つ花々。
黄昏に染まり行く空を背に、覚悟と共に足を踏み出した。
数多の苦難を乗り越えてもなお、花々の前に待つは試練。
立ちはだかるのは、現代に目覚めた古き人形。
彼の者は無垢なる心を持つ故に黄昏を望む。
――冷たき手を伸ばした先にあるのは、黄昏か、それとも明星か。
生まれたのは、仄暗い闇の底。
ただ欲望ばかりが渦を巻く、地獄のような世界。
そこに差した一筋の光明は、闇の中から私を連れ出した。
その時に、私は独り誓った。
何があっても、彼女だけは守り抜くと。
――たとえ全てを失って、この身が闇に染まったとしても。
目指したのは富国。
永遠の繁栄を約束された至高の幻想。
男は焔を制し、その先に在る不死の道を。
またある男は、焔を宿し、輪廻から外れた先へ。
ひとつの道はいつしか分かれ、その残影は――遙か、遠く。