「あらゆる過ちを、後から正す事が出来たのなら」
太古より、誰もがそれを願い、追い求めて来た。
その願いは叶う事なく、無数の命がこの世界で生まれ、散っていった。
けれど、もし、誰も知らない所で世界が書き換えられているのだとしたら――
ザルツ地方における《輪音事変》より2年、舞台はザルツ地方南西部に位置するフェンディル王国。
古来より、多くの魔法の研究が重ねられて来たこの国は、今でも数多くの遺跡と美しい景観が維持されている。
100年前に再び独立を果たしてから、愛と平和を掲げ、他国との大きな戦争も無く、国民たちは幸せな生活を送っていた。
しかし、恒久の平和などこの世には存在せず、国内から少しずつ、小さな戦火が上がり始める。
連綿と続く人々の願い、野心、欲望。それらが渦を巻き、愛の国は、“魔”法の国へと姿を変える。
――人よ、どうか、この歪んだ輪廻からの解放を。