護るべき者を失い、花々はただ途方に暮れる。
失意の底に落とされた彼らは、果たして何を想うのか。
花々を育む土壌もまた、導を失い、混迷を極める。
その先には、もう一筋の光も見えない。
それでも、彼女は云う。言葉ではなく、彼女の遺した全てが、そう伝えている。
立ち上がれ、暗闇の先にある未来に飛翔するために、と――
昇る太陽、巡る星々、廻る月。
人々の声が街に溢れ、明るい陽射しの元、一日が進んでいく。
そんな喧騒の中、私たちは再び立ち上がる。
彼女が愛した当たり前の光景を守り続けるために。
覚醒めぬ現実が街を彩り、また同じ一日が始まる。
けれど、私は知っている。
――もう間もなく、現実と、彼の者が目覚めることを。
歴史の一端を知り、花々はさらにそれを追う。
過去を知り、未来を向くことが、必要なことだと知っているから。
しかし、過去を追うのは、彼らだけではない。
過去を知り、力を求めんと欲するのは蛮徒たちの王。
未来へと飛翔するために、衝突は避けられない。
――この世に、互いが存在する限り。