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「――さあ、選択の刻よ」
「……私は別に、何も」
光ヶ峰学園と同じ区内に存在する公立北沢中学校に通う生徒です。常に伏し目がちな瞳の物静かな少女で、学校での休み時間の大半は一人で本を読んで過ごします。人との関わり合いを極端に避け、それが周囲の生徒たちの不興を買い、学校内では孤立してしまっているようです。その影響か彼女の顔や身体には傷が絶えず、いたるところに湿布や絆創膏が貼られ、包帯が巻かれています。
洒落っ気がないわけではなく、容姿には恵まれていますが、彼女の今置かれた境遇がその表情を曇らせており、近寄り難い空気を醸し出しています。その背景には複雑な家庭事情もあるようで、教師たちも半ばお手上げ状態で、彼女の抱える問題は解決する兆しも見えません。
「さあ、今日のライブも一緒に盛り上げていこうね!」
かつて日本で人気を博した伝説のライブアイドルユニット《I=deal》のメンバーの一人です。10年前の《東京大破局》の少し前に大ブレイクし、ライブはいつも超満員で、一時は日本ではその名前は知らないとまで言われる程の人気を誇りました。東京大破局の際には、自らも罹災者であるにも関わらず、《I=deal》は復興支援のチャリティライブを頻繁に行い、大破局で心身ともに傷ついた人々の支えとなりました。
しかし、大破局に連なる事故で相方の緑野 静香を失ってしまいます。それでも瑠花はその遺志を継ぎ、ひとりで《I=deal》名義での活動を続け、多くの人々に元気を与え続けました。その活動は事件の6年後まで続きましたが、4年前に行われたライブを区切りに、瑠花はアイドル活動を休止してしまいました。
その後は彼女は芸能界を引退し、一般人として過ごしているとも、不慮の事故で亡くなったとも言われていますが、確かな事は世間に知られていません。