「……私は別に、何も」
光ヶ峰学園と同じ区内に存在する公立北沢中学校に通う生徒です。常に伏し目がちな瞳の物静かな少女で、学校での休み時間の大半は一人で本を読んで過ごします。人との関わり合いを極端に避け、それが周囲の生徒たちの不興を買い、学校内では孤立してしまっているようです。その影響か彼女の顔や身体には傷が絶えず、いたるところに湿布や絆創膏が貼られ、包帯が巻かれています。
洒落っ気がないわけではなく、容姿には恵まれていますが、彼女の今置かれた境遇がその表情を曇らせており、近寄り難い空気を醸し出しています。その背景には複雑な家庭事情もあるようで、教師たちも半ばお手上げ状態で、彼女の抱える問題は解決する兆しも見えません。