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《歪みの躙廻》の世界においては、魔動通信と呼ばれる遠距離間での通信技術が発明されています。この技術は、ルキスラ帝国のユリウス皇帝の主導による魔動機文明時代の遺跡の大量発掘の過程で生み出されました。
魔動通信というのは、魔動機文明時代のマジックアイテム〈通話のピアス〉と魔動機術【テレグラフ】の応用によって作られた通信機による音声の送受信による通話技術です。遺跡発掘の副産物として大量に出土したマギスフィアを加工し、それを組み込んだ小型機械〈魔動通信機〉と遠距離間での通信を補佐する役割を持った施設〈中継塔〉の二つの作用によって成り立ち、現在ではフェンディル王国民たちにも広く利用されています。
フェンディル王国へ通信機がもたらされると、研究者たちはこぞってその改良に乗り出します。ルキスラ帝国にも引けをとらない技術力を誇るフェンディルの技術者たちに掛かれば、〈魔動通信機〉がさらなる進化を遂げるまでにそう時間は掛かりませんでした。首都ディルクールの魔動機院では日々夜を徹して議論が交わされ、実験が行われ、やがて音声だけでなく、文字の送受信も可能となりました。
首都ディルクールを始め、フェンディル王国の各都市には〈中継塔〉が次々に建設されており、魔動通信は早くも国民たちの生活に欠かせないものとなってきています。
魔動通信と同時期に、〈自立可動式戦闘支援システム〉と呼ばれる魔動機械もフェンディル王国へやってきました。
これも魔動機文明時代の遺産によって生み出された技術で、その名の通り装備者の身体能力などを向上させ、戦闘行動をサポートします。
〈魔動通信機〉と同じく、これも輸入されて間もなく研究が開始され、大量生産に向けた改良が行われ続けています。その成果が出て、2,3年前のルキスラ帝国やダーレスブルグ公国では一部の将校や名の知れた冒険者しか所持することができませんでしたが、現在では、一般冒険者たちも手にする事が可能です。とはいえ、まだまだ高額で品薄であるのは変わらず、さらなる技術革新が望まれています。現在流通しているのは〈自立可動式戦闘支援システム汎用型〉で、【アビス】という通称で呼ばれています。