「ふたりなら、きっとこの国を導いていけると思うの」
現在のフェンディル王国をまとめている双子姫の姉です。
先王亡き後、宰相つきでの即位を望まれましたが、それを拒否し、妹と共に玉座に着くことを希望しています。
妹と共にさまざまな卓越した政治手腕で国を束ねる一方、瓜二つの容姿を活かして入れ替わりごっこで周囲を驚かせる子供っぽい一面もあります。
また、愛くるしい外見と国民第一の政策方針で、国民たちの人気の的となっています。
そんな双子姫ですが、“入れ替わりごっこ”により、互いが政治、魔術などすべてに明るい完璧超人であるかのように振舞っています。
「そうそう、ふたり一緒じゃないと駄目なの。仲良しだ・か・ら♪」
現在のフェンディル王国をまとめている双子姫の妹です。
姉と揃って天才的な政治と魔術の才を持つお姫様――と世間から愛されているラフェンサですが、実は政治にはそれほど明るくありません。
しかし、魔術・勉学に関しては類を見ない程の才能を秘めており、読破した本の内容は忘れる事はありません。
ただ、少々自己中心的なきらいがあり、貴族や元老院の一部からはあまり良く思われていません。
「フェンディルを守る。そう、王に誓ったからな……」
フェンディル王国の元老院に在籍している賢者です。
前王ソーラスとの親交が厚く、彼の生前は一番の相談役として活躍していました。エレディア大三角州への入植も、彼と王との間で決めた事と言われています。
ソーラス王の死後、コークル姫の宰相となる予定でしたが、コークルがそれを拒んだために叶いませんでした。ヴェゼンは、地位が得られなかった事よりも、王との約束を守れなかった事を気に病んでいます。
また、彼は双子姫が役割分担している事に気づいていて、それが露見した時の事態を危惧しています。そのため、双子姫の共同即位には反対しており、コークル姫との関係は良好とは言えません。
「……お前は拳など振るわずとも良いのだ」
ディルクールの外れの森の屋敷に住む武術家の男性です。
ユーディットの父でもあり、【ヴァイスハイト魔拳術】と呼ばれる流派の唯一の伝承者です。
かつては隆盛を誇った流派でしたが、格闘術と魔術の融合というコンセプトは現代のフェンディル王国の流行に合わず、凋落の一途を辿っています。
ランドルフ自身も、自分の代で【ヴァイスハイト魔拳術】の歴史に幕を閉じることに抵抗はなく、彼は静かに余生を過ごそうとしています。
「魔動機術は、人々の幸せの為に作られたものですから」
ディルクールにある魔動機院の副院長職を務める優秀な魔動機師です。
庶民の出自ながら、努力を重ねて現在の地位に就いた苦労人で、今も要職でありながら庶民的な感覚を忘れない実直な人柄で知られています。
人望が篤く、現在複数いる副院長の中でも、空席の院長職にもっとも近い人物だとされています。
しかし、本人は出世よりも、市民と魔動機院の距離を縮める活動に熱心です。
その活動の一環か、街に出ては市民と語らい、魔動機術に関する事を始めとして、その他にも様々な相談に乗る事もあるそうです。
「ぼ、僕だって……あ、すみません、何でもないです……」
ディルクールの魔動機院に所属する青年です。
うだつの上がらない風貌と性格をしており、身体についた脂肪の為に動きもノロマです。
しかし、頭の回転が早く、魔動機術に関してはかなりの腕前を持ち、情報通でもあります。が、自分に自信が無い故に実力を十分に発揮する事ができません。
「ウフフ、今日もたくさんいい仕事を揃えてるわよ」
ディルクールで冒険者の店〈明けの明星亭〉を営む壮年の男性です。
逞しい体の大男ですが、女性のような口調で喋り、性格も女性らしく繊細です。
彼が何を思ってそのように振舞っているのかは一切不明ですが、敏腕店主として、冒険者たちの中の信頼は非常に厚いものとなっています。
「らしくない、って? いやいや、俺程義理堅い男もそう居ないって」
白の髪と灰褐色の肌を持つ冒険者です。
掴みどころのない性格で、何処からともなく現れては何処かへ去っていく、雲のような存在です。
あらゆる意味でフットワークも軽く、街で流れる彼に関する噂は、大体が女性関係のものです。
時折物憂げな雰囲気を漂わせる事から、何か深い事情を持つでは……とも言われますが、今のところそのような気配は皆無です。
シャドウらしく斥候の技術に長け、近接戦闘の腕も抜群で、ディルクールの冒険者たちの中では五指に入る実力だと言われています。
「さようなら。二度と会う事もないでしょう」
濡れ羽色の長髪と鋭い紅い瞳を持つ女性です。
常にその腰に太刀を携えており、一目で彼女が冒険者である事が伺えます。
性格は冷静で、現実主義ではありますが、共に仕事に出た相手はきちんと気遣う為、冒険者内での評判は上々です。
また実力もかなりのものであり、マシューと並んでディルクールの上位冒険者に数えられています。
「私は、生まれた理由を知りたいのです」
〈幻影騎士団〉の現団長を務めるルーンフォークです。真語魔法、操霊魔法の両方に優れた魔導師でありながら、前団長から叩き込まれたらしく、近接戦闘もベテランの戦士並にこなします。
見ルーンフォークの例に漏れず、比較的小柄な少女に見えることが、就任当初は周囲との軋轢を生んでいましたが、蛮族討伐の際に見事な作戦立案の手並みや指揮能力を発揮したことでこの軋轢は解消され、現在では騎士団の多くの者から信頼を置かれています。
丁寧な口調と物腰のいかにもルーンフォークといった性格の彼女ですが、真顔でボケて周囲を唖然とさせることもあります(本人は大真面目です)。
「この国の歴史と文化は、実に興味深いわ」
フェンディル王国の歴史を紐解かんとする学者です。
長い赤髪が特徴的なスタイルの良い妙齢の女性ですが、魔術の心得があるらしく、街の近郊の遺跡ならば単独で赴く事もしばしばあるようです。
その為、ディルクールを中心に、フェンディル王国各地の遺跡で姿が見られることがあります。
研究に夢中になると周りが見えない性格なのか、立入禁止区域まで踏み込んでしまい、衛兵などに連行される事もあるそうです。
「この国の平和は、この僕に任せておいてくれたまえ」
現在のフェンディルで隆盛を誇る【ヒューゲル流魔法剣術】の門下生である青年です。
良家の出身であり、ディルクールで最も大きな冒険者の店〈花の導き亭〉に籍を置く冒険者でもあります。
根は善人なのですが、プライドが高く、自身の生まれや剣の腕が良いことを鼻にかけて周囲といざこざを起こす事も少なくありません。
彼の周りにはいつも数人の仲間(というより部下)が付き従い、その様子は冒険者の中で(賛否両論ではありますが)話題になっています。
〈幻影騎士団〉の前団長です。
がっちりとした体格の豊かな口ひげを蓄えたダンディズム溢れる男性でしたが、5年前の《血の禊事件》の最後の決戦時に部下を守って命を落としました。面倒見が良く、誰からも好かれる性格をしており、彼の訃報が知らされた時には多くの人々が悲しみました。
その性格が高じてか、彼は生前二人のルーンフォークの身柄を預かっており、彼らと家族同然に暮らして来ました。彼の死後、〈幻影騎士団〉の団長位はそのルーンフォークの内の一人が継ぎ、現在の騎士団は彼女によって導かれています。