2016年、世界は未曾有の災厄に見舞われた。
それは大地震でも、火山噴火でも、戦災でもなく――いくつかの、小さな隕石の落下だった。
先進国の主要都市を中心に、世界の各大陸や島々に落下した拳大のごく小さな隕石。
最初は誰もがただの隕石が降って来ただけだとし、メディアも大きく取り上げることはなかった。
しかし、それからすぐに人々はそれが間違いだったことを知る。
数日もしない内に、隕石は大地を侵し、周囲の建物を変容させ、異界とも呼ぶべき空間を作り出し、自らは巨大な殻に閉じ篭もり、人々の前から姿を消す。
そして、間もなくして世界各地に異形の魔物が現れ始めた。
《黄昏》――人々は、隕石から生み出された異形の存在にそう名を付けた。
動物に人型、そして空想の中でしか存在しない悪魔や竜、森羅万象を形どる彼らは他を喰らい、または侵し、瞬く間に世界を壊して行く。
兵器も効かない《黄昏》に為す術無く蹂躙されていく人間たちは、絶対的窮地の中でひとつの希望を見つけ出す。
それは、とある〈剣のかけら〉。
これこそが、《黄昏》という絶望と共に降り注いだ、人類の唯一の希望だった――。